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『赤い指』 東野圭吾

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赤い指 赤い指
東野 圭吾 (2006/07/25)
講談社

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7歳の少女を中三男子が自宅で殺害。
殺人犯となった直巳の父前原昭夫、母八重子が、息子の罪を隠そうと
画策してゆく。読み進めるうちにどんどん胸が苦しくなってくる。

一方で、捜査の担当になったのは警視庁捜査一課から来た松宮、
そして事件の起こった練馬署刑事課の加賀がコンビを組むことになった。
二人は従兄弟同士であるが、癌を患って闘病中の加賀の父親を巡って、
内心歩み寄れないものを感じていた。

前原家には、年老いて痴呆症を患った昭夫の母政恵が同居している。
少年による殺人事件、加害者と被害者。痴呆症の親を持つ家庭、
そして、癌を患い最期を迎えようとしている親。
それぞれが、毎日のワイドショーから大量に流れている事柄だ。
決して珍しいことではない。けれど、この本の中では一つ一つの
事柄が問いかけてきた。

「自分の子供が誰かを殺したら、自分なら親としてどうするだろうか」
「自分の子供が命を奪われたらどうするだろうか」
「痴呆症を患った親と同居したら自分はどうするだろうか」
「親の最期を自分ならどうやって看取るのか」

いずれも共通して「家族のあり方とは何か」「親と子とのつながり
とはなんなのか」を突きつけられている気がしていた。
抱えている問題はどれもとても重い。けれど、その問題を個人で
抱え込んでいるのが現実で、しかし個人で抱え込むには大きすぎる
問題で、助け合えない状況が悲惨なんだなと思う。私自身、親とは
相容れない部分があり、常日頃「親と自分」については34歳に
なっても素直に受け入れられないもどかしさがある。

それぞれの問題はどうやって解決されるのか。
題名である「赤い指」は何を意味しているのか。ラストに近づくにつれ、
涙が止まらなくなる。本を読み終えて印象に残った言葉がある。
刑事松宮が回想した<繋がっていたかったのだ。>という一節だ。

殺伐とした事件が日常茶飯事になっていると人と人の間にある糸は、
一見ぶつ切れ状態に思える。しかし、子から親へ親から子へ、
繋がっているから命が誕生している。生まれ出たとたんにその糸は
切れたように思えるがきっと死ぬまで繋がっているのだろう。

内容は重く切ないが、最後は加賀刑事の警察としての対応ぶりや
人間性に心が温まる。2006年から2007年の年越しの日に読んだ
最後で最初の本であった。

(お気に入り度数 ★★★★★

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